「コーヒーは体にいい? 悪い?」より、本当に知りたいのは——“1日何杯までなら安心か”。科学の答えは、思ったよりはっきりしている。
結論(早見)
健康な成人なら、カフェインは1日400mgまでが目安。コーヒーならマグカップでおよそ3〜4杯。そして妊娠中は200mg(約2杯)まで。これは欧州食品安全機関(EFSA)が「健康リスクが上がらない」と評価した量です。
飲み物別カフェイン量(目安)
| 飲み物 | 1杯の目安 | カフェイン |
|---|---|---|
| ドリップコーヒー | マグ240ml | 約90〜120mg |
| エスプレッソ | 1ショット30ml | 約60〜80mg |
| 紅茶 | カップ240ml | 約40〜50mg |
| 緑茶 | カップ240ml | 約30〜50mg |
| エナジードリンク | 250ml缶 | 約80mg |
| コーラ | 350ml缶 | 約35mg |
同じ「1杯」でも、豆の量・抽出時間・サイズで倍近く変わる。表は一般的な目安です。
もっと深く:なぜ“400mg”なのか
カフェインは、脳で眠気をためる物質アデノシンの受容体をふさいで覚醒させる。少量〜中量(〜400mg)では集中・覚醒・気分にプラスが出やすい。一方、過剰になると同じ仕組みが裏目に出て、心拍数の上昇・手の震え・不安・不眠を招く。400mgという線は「益が伸びにくくなり、害が出始める」境界としてEFSAが置いたものです。
同じ量でも効き方が違う:体質と遺伝子
カフェインの分解速度は人によって大きく違う。鍵を握るのが肝臓の酵素 CYP1A2 の遺伝子型で、“速い分解者”は夜の1杯も平気な一方、“遅い分解者”は午後の1杯で眠れなくなることも。だから「みんな400mg」ではなく、自分の体感で上限は前後するのが実際です。
よくある誤解
- 「コーヒーは脱水する」
- 常用量では利尿は軽度で、飲んだ水分のほうが上回る。極端でなければ水分補給として実質カウントできる。
- 「エスプレッソが一番カフェインが多い」
- 1杯あたりは少なめ(30mlで60〜80mg)。総量はサイズ次第で、マグのドリップのほうが多いことが普通。
飲むなら、いつ?
カフェインの半減期は約5時間。午後遅くの1杯は、夜の眠りにまだ半分残っている。就寝の6〜8時間前以降は控えると睡眠の質を守りやすい。朝は、起床直後より起きて90分ほど後のほうが、自前の覚醒ホルモンと喧嘩せず効きが素直という見方もある。
【さらに深掘り(Yohaku会員・近日)】CYP1A2 遺伝子型別の“あなたの最適量”早見、運動パフォーマンス向上の効果量(何mg・何分前が最適か)、コーヒーと健康アウトカム(心血管・肝臓・寿命)の大規模研究の読み解き——ここでしか読めない深さで、出典つきで徹底解説する予定です。
用語
- カフェインの半減期
- 体内のカフェイン量が半分になるまでの時間。成人で約5時間。夜の1杯が眠りに響く理由。
- アデノシン
- 起きている間にたまり、眠気を生む脳内物質。カフェインはこの“眠気スイッチ”を一時的にふさぐ。
- CYP1A2
- カフェインを分解する肝臓の酵素。遺伝子型で分解速度=カフェイン耐性が変わる。
- EFSA(欧州食品安全機関)
- 食品の安全な摂取量を科学的に評価するEUの公的機関。