身内の葬儀を考えるとき、最初の迷いは“いくらかかるか”。でも本当の分かれ目は、金額の前にどの「型」を選ぶかです。型が決まれば、費用の幅はおのずと決まる。ここでは4つの型を、相場と一緒に整理します。
結論(早見)
葬儀は大きく直葬(火葬式)・一日葬・家族葬・一般葬の4つ。儀式を省くほど安く、参列者が増えるほど高くなります。費用は「①葬儀社へ払う基本料金」+「②飲食・返礼(人数で増減)」+「③お布施など宗教者へのお礼」の3つに分かれ、見積りで比べるべきは①です。
4つの型の比較
| 型 | 通夜 | 告別式 | 参列者 | 向く人 |
|---|---|---|---|---|
| 直葬(火葬式) | なし | なし | ごく少数 | 費用を最小に。儀式にこだわらない |
| 一日葬 | なし | あり | 家族〜親族 | 1日で。高齢の参列者の負担を減らす |
| 家族葬 | あり | あり | 家族・近親・親友 | 身内で静かに見送りたい(最も選ばれる) |
| 一般葬 | あり | あり | 友人・職場・地域も | 多くの人に知らせ会葬してもらう |
「家族葬は必ず安い」とは限りません。香典収入が減るため、自己負担はかえって一般葬と変わらない場合もあります。
深掘り:見積りで損しないための3つの目
① 「セットプラン」に何が含まれるか。 広告の「◯◯万円〜」は最小構成のことが多い。ドライアイス追加、安置日数、搬送距離、火葬場使用料、式場利用料などが別建てになっていないか、見積書の項目を1行ずつ確認します。国民生活センターも、ネット表示額と請求額の食い違いや、参列人数で増える項目への注意を呼びかけています。
② 「追加料金一切不要」をうのみにしない。 そう表示しながら追加請求する事業者に、消費者庁が行政処分を出した例があります。総額の根拠を書面で。
③ 互助会の前払いは“積立”であって割引保証ではない。 冠婚葬祭互助会は割賦販売法の前払式特定取引で、経済産業大臣の許可制・前受金の保全義務があります。ただし積立は葬儀費用の一部に充当されるだけで、別途追加費用がかかるのが普通。中途解約には手数料がかかる点も、加入前に確認を。
段取り(もしもの直後)
病院で亡くなると、数時間内に遺体の搬送先(自宅か安置施設)を決める必要があり、ここで葬儀社を“急いで”決めがち。これがトラブルの温床です。可能なら元気なうちに2〜3社の見積りを取り、安置だけ依頼して契約は急がないのが鉄則。費用面の準備は、生前贈与や相続の段取りとあわせて考えると無駄がありません(参考:生前贈与、相続税はいくらから)。
用語
- 直葬(火葬式)
- 通夜・告別式を行わず、火葬のみで見送る最も簡素な形式。
- 冠婚葬祭互助会
- 毎月の積立で冠婚葬祭の費用に備える前払い制度。割賦販売法の許可事業。
- 前払式特定取引
- 商品・役務の提供前に、2か月以上・3回以上に分けて代金を受け取る取引。互助会が代表例で、経産大臣の許可と前受金保全が義務。