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医療保険はいらない?——高額療養費制度を知ってから決める

結論:まず公的制度で守られる範囲を知る。医療費100万円でも自己負担は約8.7万円。保険でしか埋まらない「3つの穴」だけ、保険か貯金かを選ぶ。

更新 2026-06-06

#健康#保険#お金#社会保険

「医療保険、入ったほうがいい?」——この問いの前に知るべき事実がある。日本の公的医療保険には高額療養費制度という強力な上限装置が組み込まれていて、医療費が100万円かかっても、多くの現役世代の自己負担は約8.7万円で済む。民間医療保険の要否は、この「すでに守られている範囲」を知ってから決めるのが正解だ。

結論(早見)

貯金で医療費の急な出費(目安50〜100万円)に耐えられる人は、医療保険なしでも合理的。一方、①貯蓄がまだ薄い、②自営業・フリーランス(働けない間の傷病手当金がない)、③先進医療など公的保険の対象外に備えたい——のどれかに当てはまるなら、安い掛け捨てで穴だけ埋める価値がある。

例:医療費100万円(70歳未満・年収約370〜770万円)残りは公的保険+高額療養費でカバー自己負担 約87,430円計算式:80,100円+(1,000,000円−267,000円)×1%
高額療養費制度による自己負担上限の例(厚生労働省の計算式にもとづく)。上限額は年収(標準報酬月額)で変わる。

公的制度でカバーされるもの・されないもの

項目公的保険備考
手術・入院の治療費○(3割負担+上限あり)高額療養費で月の上限まで
長引く治療○(さらに軽減)多数回該当で4か月目から上限が下がる
差額ベッド代(個室)×1日数千円〜数万円。希望しなければ原則不要
入院中の食事代△(定額自己負担)1食あたり定額の標準負担額
先進医療の技術料×(全額自己負担)重粒子線治療などは数百万円の例も
働けない間の収入会社員○/自営業×傷病手当金は健康保険(会社員等)のみ

深掘り:それでも入院は「タダ」ではない

生命保険文化センターの調査では、直近の入院時の自己負担費用は平均18.7万円。治療費の上限は低くても、食事代・差額ベッド代・交通費・日用品などが積み上がる。つまり「医療保険がいらない」の実際の意味は、この20万円前後の出費を貯金から平気で出せるかという問いだ。

2026年8月から自己負担上限が引き上げ

高額療養費の自己負担上限は、2026年8月から段階的に引き上げられる見直しが進んでいる。「公的制度があるから大丈夫」の中身が少しずつ変わるため、判断の前提となる上限額は最新の一次情報での確認を。

判断フレーム:保険は「貯金が育つまでのつなぎ」

医療保険の期待値は保険料より低い(でなければ保険会社が成り立たない)。だから合理的な使い方は、貯金が薄い時期に、安い掛け捨てで最悪ケースだけ塞ぎ、貯蓄が育ったら卒業を検討すること。逆に、貯蓄が十分でも「安心を買う」価値観は否定されない——固定費として納得できる金額かで決めればいい。

用語

高額療養費制度
1か月の医療費の自己負担に年収別の上限を設ける公的制度。詳しくはこちら
傷病手当金
会社員等が病気やけがで働けないとき、給与のおよそ3分の2を最長1年6か月受け取れる健康保険の給付。国民健康保険(自営業等)には原則ない。
先進医療
厚生労働大臣が定める高度な医療技術。技術料は公的保険の対象外で全額自己負担。
本記事は情報提供であり、保険・医療に関する助言ではありません。制度の金額・条件は改正されるため、加入や解約の判断は厚生労働省・各保険者の最新の一次情報を確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

参考文献・出典

  1. 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 mhlw.go.jp(自己負担上限額の計算式・多数回該当)。
  2. 厚生労働省保険局「高額療養費制度の見直しについて」(2025年12月・高額療養費制度の在り方に関する専門委員会資料) PDF(2026年8月からの段階的な上限引き上げ)。
  3. 生命保険文化センター「入院費用(自己負担額)はどれくらい?」 jili.or.jp(直近の入院時自己負担費用 平均18.7万円)。
  4. 厚生労働省「先進医療の概要について」 mhlw.go.jp(先進医療の技術料は全額自己負担)。

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