「家を売っても、そのまま住み続けられる」——リースバックはそう聞こえる。だが国(国土交通省・国民生活センター)がわざわざ注意喚起を出すほど、契約後に「家賃が払えず結局退去」というトラブルが起きている。怖がらせるためでなく、賢く使う・避けるための地図を。
結論(早見)
リースバックは「現金は今すぐ要る、でも引っ越したくない」人向けの最終手段に近い選択肢。売却価格は市場相場より安く、家賃は相場より高くなりやすいのが構造的な特徴。まず下の表で通常売却・任意売却・債務整理など他の手段と必ず比べること。署名の前に、(1)買戻し価格 (2)家賃の改定条件 (3)契約期間(定期借家か)の3点を書面で確認。
| 手段 | 住み続けられる | 受取額の傾向 | 向く人 |
|---|---|---|---|
| リースバック | ○(賃貸として) | 相場の6〜8割程度になりやすい | 引っ越したくない・現金が要る |
| 通常売却(仲介) | ×(退去) | 相場に最も近い | 高く売りたい・時間に余裕 |
| 任意売却 | 原則× | 残債圧縮が目的 | 住宅ローン滞納・競売回避 |
| 不動産担保ローン/リバースモーゲージ | ○(所有のまま) | 借入(返済義務あり) | 所有権を手放したくない |
※受取額の傾向は一般的な目安(編集部整理 2026-06)。実額は物件・事業者で大きく異なる。
深掘り:国が指摘する“落とし穴”
国民生活センターは2025年5月、「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」と異例の注意喚起を出した。相談の約8割が60歳以上で、典型的なトラブルはこの3つ:
- ① 「ずっと住める」が嘘になる
- 多くは定期借家契約。期間満了で更新を断られれば退去になる。「ずっと」と口頭で言われても契約書が定期借家なら別物。
- ② 家賃が上がって払えない
- 受取現金は売却額(相場より安い)。一方家賃は相場より高めに設定され、改定条項で値上げされる例も。収支計画が破綻すると住み続けられない。
- ③ 買戻しができない
- 「将来買い戻せる」と言われても、買戻し価格は売った額より高いのが普通。資金が用意できず断念するケースが多い。
国土交通省は2022年に消費者向けガイドブックを公表し、契約前に「賃貸借契約の種類・期間」「賃料と改定条件」「買戻しの可否と価格」を確認するよう促している。勧誘がしつこい・即決を迫る事業者は要注意。複数社の条件を比較し、家族や専門家に相談を。不安があれば消費者ホットライン188。
本記事は情報提供であり、投資・法律・不動産取引の助言ではありません。契約は重大な財産処分を伴います。最新・正確な内容は必ず一次情報(下記出典)と、宅地建物取引士・弁護士・消費生活センター等の専門家にご確認ください。