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地震保険は入るべきか?仕組み・割引・保険料の決まり方

地震による火災は、火災保険では1円も出ない。公的制度ゆえ「どの会社でも同じ保険料」——差がつくのは割引だけ。一次資料で整理。

更新 2026-06-05

#防災#保険#お金#不動産#税金・控除

火事には火災保険。では地震が原因の火事は?——実は火災保険では補償されない。この一点を知らないまま「持ち家なのに地震に無防備」という世帯は少なくない。地震保険の仕組み・保険金・割引を、財務省と損害保険料率算出機構の一次資料だけで整理した。

結論(早見)

地震・噴火・津波による損害(地震を原因とする火災を含む)をカバーできるのは地震保険だけ。単独では契約できず、火災保険とセットで入る。保険金額は火災保険の30〜50%(建物5,000万円・家財1,000万円が上限)。政府が再保険で支える公的制度なので保険料はどの保険会社でも同じ。差がつくのは建物の耐震性能などによる割引(最大50%)だけ。「再建費の全額が出る保険」ではなく、生活再建の頭金をつくる保険と理解するのが正確だ。

損害区分と支払割合(保険金額に対する%)全損100%大半損60%小半損30%一部損5%※2017年1月以降の契約は4区分(財務省)
支払いは「実損払い」ではなく4つの損害区分による定額方式。全損でも出るのは契約した保険金額(=火災保険の30〜50%)まで。

割引は4種類・最大50%

保険料は全社共通だが、建物の耐震性に応じた割引がある(併用は不可、いずれか1つ)。

割引条件割引率
免震建築物割引住宅性能表示制度の免震建築物50%
耐震等級割引耐震等級350%
耐震等級230%
耐震等級110%
耐震診断割引耐震診断・改修で現行基準相当を確認10%
建築年割引1981年6月1日以降に新築10%

2011年以降の新築なら耐震等級3の住宅は珍しくない。住宅性能評価書が手元にあるか確認するだけで、保険料が半額になることがある。


深掘り:保険料はどう決まる?

地震保険の基準料率は、保険会社ではなく損害保険料率算出機構(GIROJ)が算出する。保険料は都道府県建物の構造(イ構造=主に耐火・準耐火、ロ構造=主に木造)で決まり、地震リスクの高い地域ほど高い。公共性の高い制度のため料率に利潤は含まれない(ノーロス・ノープロフィット原則)。さらに巨大地震で民間の支払能力を超えないよう政府が再保険を引き受けており、1回の地震あたりの総支払限度額は12兆円に設定されている。「保険会社が潰れて払われない」を制度設計で避けている、という点は安心材料だ。

入るべきか:判断の軸は「ローンと貯蓄」

最優先で検討すべきは住宅ローン残高が大きく、貯蓄が薄い持ち家世帯。地震で家が全損しても、ローンは消えない(団信が効くのは契約者の死亡・高度障害時のみで、建物の被害には無力)。「住めない家のローン」と「新しい住まいの費用」の二重負担を、地震保険の保険金が和らげる。逆に、ローン完済済みで再建資金を自前で賄える世帯や、賃貸住まい(建物は大家の問題。検討対象は家財のみ)なら優先度は下がる。なお、火災保険への付帯率は近年約7割まで上がっている。住宅購入時の保険設計は住宅ローンの金利タイプ選びとセットで考えたい。

払った保険料は税金で少し戻る

地震保険料は地震保険料控除の対象で、所得税で最大5万円・住民税で最大2万5千円を所得から差し引ける。年末調整・確定申告で忘れずに。

本記事は情報提供であり、保険加入を勧誘・助言するものではありません。補償内容や保険料は契約条件・地域・建物により異なります。最新の制度は財務省・損害保険料率算出機構など一次情報と各社約款を必ず確認してください。

用語

政府再保険
民間保険会社が引き受けた地震リスクのうち、一定額を超える部分を政府が引き受ける仕組み。巨大地震でも保険金が払われる根拠。
イ構造/ロ構造
地震保険料の区分。イ構造は主に鉄骨・コンクリート造(耐火)、ロ構造は主に木造。同じ県でもロ構造のほうが高い。
付帯率
火災保険の新規契約のうち地震保険を付けた割合。地震保険は火災保険とセットでしか入れないため、この指標で普及度を測る。
損害区分
全損・大半損・小半損・一部損の4区分。区分ごとに保険金額の100/60/30/5%が定額で支払われる。

参考文献・出典

  1. 財務省「地震保険制度の概要」(補償範囲・30〜50%と上限額・損害区分4区分・政府再保険・総支払限度額12兆円)。
  2. 財務省FAQ「地震保険は、どのような保険ですか」(地震を原因とする火災は火災保険の対象外)。
  3. 損害保険料率算出機構「地震保険基準料率」(都道府県×構造別の料率・各種割引率・ノーロス・ノープロフィット)。
  4. 損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況」(付帯率の推移)。
  5. 国税庁タックスアンサー「No.1145 地震保険料控除」(所得税の控除額)。
  6. 国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅性能表示制度)」(耐震等級の定義)。

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