売掛金を期日前に現金化できる「ファクタリング」。資金繰りの強い味方になる一方で、手数料の相場を知らずに契約すると、銀行融資よりはるかに高くつくことがある。安全に使うための軸を、金融庁の一次資料つきで整理する。
結論(早見)
見るべきは手数料率・2社間か3社間か・償還請求権の有無・入金スピード・運営の実在性の5点。ファクタリングは法的には債権の売買であって「借金の返済」ではない。手数料が年率換算で異常に高い、契約に償還請求権が付く、あるいは給与ファクタリングを勧めてくる業者は、金融庁が注意喚起する偽装貸付(ヤミ金)の疑いがある。
| 種類 | 手数料の目安 | 売掛先への通知 | 入金 |
|---|---|---|---|
| 2社間(利用者と業者のみ) | およそ8〜18% | なし | 最短即日 |
| 3社間(売掛先も関与) | およそ1〜9% | あり | 数日 |
深掘り:どこからが「危ない」のか
償還請求権の有無が分かれ目:売掛先が倒産しても利用者が肩代わりしない(=償還請求権なし=ノンリコース)のが本来のファクタリング。もし「売掛先が払わなければあなたが返す」契約なら、それは実質的な貸付であり、貸金業登録のない業者なら違法の疑いが濃い。
給与ファクタリングは明確に違法側:個人の給料(賃金債権)を買い取る給与ファクタリングは、金融庁が「貸金業に該当する」と明示し、最高裁も令和5年に貸金業法・出資法上の貸付にあたると判断した。無登録業者の利用は、リボ払い以上に資金繰りを壊しかねない。
高すぎる手数料は多重債務の入口:金融庁は、高額な手数料によるファクタリングがかえって資金繰りを悪化させ多重債務につながると注意喚起している。資金繰りに行き詰まっているなら、ファクタリングの前に債務整理や公的支援も検討を。
用語
- 償還請求権(リコース)
- 売掛先が支払わなかったとき、業者が利用者に弁済を求められる権利。これが「ある」契約は実質的な貸付に近い。
- 2社間/3社間
- 売掛先を契約に関与させないのが2社間(早いが高手数料)、関与させるのが3社間(安いが通知が必要)。
- 給与ファクタリング
- 個人の給料を買い取ると称する取引。金融庁・最高裁が貸金業(貸付)に該当すると判断しており、無登録業者は違法。