「自転車保険 義務化」と聞いて慌てて入る前に、1分だけ待ってほしい。条例が求めているのは「自転車保険という商品」ではなく、相手への賠償に備える保険。それ、あなたの火災保険や自動車保険に、もう付いているかもしれない。
結論(早見)
①2024年4月時点で34都府県が条例で加入を義務化(10道県は努力義務)。罰則はないが、事故の賠償は待ってくれない。②義務を満たすのは個人賠償責任保険(特約を含む)。火災保険・自動車保険・傷害保険・クレジットカードの特約で加入済みなら、新たに入り直す必要はない。③これから入るなら賠償1億円以上+示談交渉サービス付きが目安。判例では約9,500万円の賠償命令がある。④自分のケガにも備えたい人だけ、傷害補償付きの「自転車保険」型を選ぶ。
加入手段の比較
| 加入手段 | 相手への賠償 | 自分のケガ | 示談交渉 | コスト目安 |
|---|---|---|---|---|
| 個人賠償特約(火災・自動車・傷害保険に付帯) | ◎ 1億円〜無制限 | ×(本体契約による) | ◎ 多くは付帯 | 月100〜200円程度 |
| 自転車保険(単体商品) | ◎ 1億〜3億円 | ◎ 入院・通院あり | ◎ | 月300〜800円程度 |
| TSマーク付帯保険 | ○ 赤色で上限1億円(対人のみ・対物なし) | △ 限定的 | × | 点検料に含む・毎年更新 |
| クレジットカード付帯 | ○ 商品による | ×が多い | 商品による | 無料〜 |
深掘り
「義務化」といっても罰則はない
義務化は国の法律ではなく都道府県の条例で進んでいる。2015年の兵庫県が最初で、国土交通省が標準条例(ひな形)を用意してから一気に広がった。罰則はないが、自転車販売店には販売時の加入確認が課されるなど、実務は「入っている前提」で回り始めている。
9,521万円——小学生の事故で親に賠償命令
神戸地裁の平成25年判決では、当時小学5年生の子が坂道で歩行者と衝突し、監督責任を問われた母親に約9,521万円の支払いが命じられた。個人賠償責任保険は自転車事故に限らず、買い物中に商品を壊した・飼い犬が人を噛んだなど日常生活の賠償全般をカバーする。
重複加入の見つけ方
火災保険(家財)・自動車保険・傷害保険・共済・クレジットカードの契約内容で「個人賠償責任」「日常生活賠償」の文字を探す。多くは1契約で同居家族全員が対象になる。賠償保険は実際の損害額までしか支払われない(実損てん補)ため、2本入っても二重には受け取れず、保険料がムダになるだけだ。
TSマークだけでは足りないことがある
TSマーク付帯保険は自転車店の点検整備で「自転車に」付く保険。最も手厚い赤色マークでも賠償は対人のみ・上限1億円で対物補償がなく、毎年の点検更新を忘れると切れる。メインではなく補助と考えたい。
- 個人賠償責任保険
- 日常生活で他人にケガをさせた・物を壊したときの法律上の賠償をカバーする保険。多くは特約として付帯し、同居家族全員が対象。
- TSマーク付帯保険
- 自転車安全整備士の点検を受けた自転車に付帯する保険。補償は限定的で毎年更新が必要。
- 示談交渉サービス
- 保険会社が被害者との交渉を代行するサービス。高額事故では実務上ほぼ必須。
※本記事は情報提供であり、保険募集や個別の助言ではありません。補償内容・保険料は商品や契約条件により異なります。加入・見直しの際は各社の約款・重要事項説明書と、お住まいの自治体の条例(一次情報)を必ず確認してください。