毎月の返済はそのままでいい——本当に?住宅ローンの借り換えは、うまくいけば数十万〜数百万円を取り戻せる一方、諸費用で逆ザヤになることもある。判断は感覚ではなく、たった3つの数字で決まります。
結論(早見)
借り換えで得しやすいのは、昔から言われる「金利差1%以上・残高1,000万円以上・残期間10年以上」の3条件。ただし近年は諸費用の安い金融機関も増え、どれか1つでも当てはまれば検討の価値があります。最後は「総返済額の減少分 − 諸費用」がプラスかどうか、それだけ。
見落としがちな「諸費用」の中身
借り換えはタダではありません。新しいローンを組み直すぶん、合計でおよそ50〜100万円かかるのが普通です。主な内訳は次のとおり。
| 費目 | 性格 | 目安 |
|---|---|---|
| 融資手数料 | 新ローンの事務手数料 | 借入額の2.2%前後、または定額 |
| 登録免許税+司法書士報酬 | 旧ローンの抵当権抹消+新設定 | 十数万円〜 |
| 保証料 | 保証会社利用時(不要な銀行も) | 0〜数十万円 |
| 印紙税 | 契約書に貼付 | 2〜6万円 |
| 繰上返済手数料・経過利息 | 旧ローンの完済時 | 金融機関による |
「手数料0円」をうたう商品でも、金利がやや高い・保証料が上乗せ、というケースがあります。総額で比べるのが鉄則です。
もっと深く:なぜ「金利差1%」が目安なのか
借り換えの利益の源泉は、残っている元本に対して、残りの年数ぶん、金利差が効き続けること。残高が大きく・残期間が長いほど、わずかな金利差でも積み上がる利息差は大きくなります。逆に、残高が小さい・あと数年で完済、という人は、金利差があっても利息の総差額が諸費用を超えにくい。だから「残高1,000万円・残10年・金利差1%」という3点セットが、諸費用を回収できる典型ラインとして語られてきました。詳しくは 借り換え損益分岐 を参照。
金利タイプを変える借り換えもある
借り換えは「金利を下げる」だけが目的ではありません。変動金利から全期間固定へ切り替えれば、今後の金利上昇リスクを手放せます(毎月返済は増えることが多い)。住宅金融支援機構と民間銀行が提携するフラット35の借換融資は、この「将来の返済額を固定したい」ニーズの代表例です。変動と固定の損得そのものは 住宅ローン 固定 vs 変動 で詳しく扱っています。
借り換えで見落としやすい3つの落とし穴
- 団信の再加入
- 借り換えで団体信用生命保険に入り直すため、健康状態によっては入れない・条件が変わることがある。団信の告知は要確認。
- 住宅ローン控除への影響
- 借り換え自体で控除が消えるわけではないが、借入期間や残高で控除額が変わる場合がある。住宅ローン控除とあわせて試算を。
- 繰上返済という別の選択肢
- 手元資金があるなら、借り換えより繰上返済のほうが諸費用ゼロで利息を減らせることも。両方を比べて。
進め方(ざっくり手順)
まず今のローンの残高・残期間・金利を確認し、候補銀行の金利と諸費用で試算する。多くの金融機関や住宅金融支援機構がシミュレーターを用意しています。純額がプラスで、団信・控除にも問題がなければ申し込み、というのが基本の流れです。