「家賃はもったいない、買ったほうが得」——本当だろうか。答えは人によって違うが、何で決まるかははっきりしている。鍵は、その家に何年住むかだ。
結論(早見)
賃貸か持ち家かの損得は、おおむね「住む年数」×「物件価格の割高さ」で決まる。10年以内に住み替える可能性が高いなら賃貸が有利になりやすく、同じ場所に20年以上住むつもりで適正価格で買えるなら持ち家が有利になりやすい。間の10~20年は、金利・家賃相場・売却のしやすさ次第で逆転する“グレーゾーン”。まず自分の「動く可能性」から考えるのが近道です。
賃貸 vs 持ち家(早見表)
| 項目 | 賃貸 | 持ち家 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 敷金・礼金・仲介手数料(家賃数ヶ月分) | 頭金+諸費用(物件価格の約3~10%) |
| 毎月の負担 | 家賃+更新料(2年ごとが多い) | ローン+固定資産税+修繕費(マンションは管理費・修繕積立金) |
| 住み替えの自由 | ◎ 転勤・家族の変化に即対応 | △ 売却・賃貸化に時間とコスト |
| 老後 | △ 家賃が一生続く・高齢期は入居審査の壁も | ◎ 完済後は住居費が軽くなる(維持費は残る) |
| 大きなリスク | 家賃上昇・立ち退き | 価格下落・金利上昇・災害 |
深掘り①:持ち家の「見えないコスト」
購入価格だけで比べるのは危ない。持ち家には固定資産税・火災保険・修繕費が毎年かかり、マンションなら管理費と修繕積立金が上乗せされる。修繕積立金は段階増額方式のマンションが多く、将来の値上げを見込んでおく必要がある(国交省ガイドラインは令和6年に引上げ幅の目安を明示)。さらに住宅ローンの金利は総支払額を大きく左右する(固定 vs 変動の選び方)。国交省の令和6年度調査では分譲集合住宅(マンション)の平均購入資金は約4,679万円——“買える額”と“買っていい額”は別物だ。
深掘り②:賃貸の「見えないコスト」と老後
賃貸は身軽さが最大の武器だが、更新料・引越し費用・退去時の原状回復が積み重なる。原状回復の負担範囲は国交省ガイドラインで「通常の使用による消耗は貸主負担」が原則とされており、知っているだけで退去費用が変わることも。もう一つの論点は老後の借りやすさ。高齢期は入居審査が通りにくくなる場合があり、「一生賃貸」を選ぶなら家賃を払い続ける資金計画と保証の備えが必須になる。
深掘り③:日本の実情——「みんな買ってる」は根拠にならない
総務省の住宅・土地統計調査(2023年)では、持ち家率は60.9%と約30年ほぼ横ばい。つまり約4割は借家であり、どちらも普通の選択だ。買う・借りるは多数決ではなく、転勤の可能性・家族構成の変化・収入の安定度・地域の資産価値という自分の変数で決めるもの。迷うなら、まず診断「賃貸か持ち家か」で自分の傾きを確かめてみてほしい。