病気やケガで「長く働けない」状態になったら、収入はどうなる? 就業不能保険に入るべきか迷う前に——あなたが会社員か自営業かで、公的保障の手厚さはまるで違う。まずそこを知るのが順序です。
結論(早見)
就業不能リスクは、①公的保障でどこまで持つかを確認 → ②不足が大きい人だけ保険で上乗せが鉄則。会社員は手厚い。最長で通算1年6か月の傷病手当金(給与のおよそ2/3)に、重い障害が残れば障害厚生年金(1〜3級)も加わる。自営業・フリーランスは傷病手当金が原則なく、障害年金も2級までしか出ない。つまり自助(保険・貯蓄)の必要度は会社員より明確に高い。なお収入保障保険は「死亡・高度障害」向けで、働けない状態を広く支える就業不能保険とは別物です。
| 働けないときの公的保障 | 会社員(健康保険+厚生年金) | 自営業・フリーランス(国保+国民年金) |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | あり:標準報酬日額の約2/3・通算1年6か月 | 原則なし(市区町村の任意給付) |
| 障害が残ったとき | 障害基礎+障害厚生年金(1〜3級) | 障害基礎年金のみ(1・2級、3級なし) |
| 自助の必要度 | 中 | 高 |
深掘り
公的保障でどこまで持つか。会社員が病気・ケガで連続して仕事を休むと、4日目以降、傷病手当金が支給される。額は「直近12か月の標準報酬月額の平均÷30×2/3」で、ざっくり手取りの6割前後。2022年1月からは通算1年6か月に数え方が変わり、途中で復職した期間は消化されなくなった。さらに状態が固定して障害が残れば障害年金に移る。自営業はこの傷病手当金が原則ないため、働けない=即収入ゼロになりやすい。
就業不能保険と所得補償保険の違い。生保の「就業不能保険」は、所定の就業不能状態が続く間、毎月の年金を長期(〜60歳・65歳など)受け取れるものが中心。損保の「所得補償保険」は比較的短期(1〜2年)の補償が多い。どちらも、加入してすぐ・短期では出ない免責(支払対象外)期間(例:60日・180日)がある点に注意。
約款で必ず見るべき点。(1) どんな状態が「就業不能」と認められるか(入院・在宅療養・障害等級連動など定義はバラバラ)。(2) 精神疾患(うつ等)が対象か、対象でも給付が短く制限されないか。(3) 免責期間の長さ。(4) 給付期間とハーフタイプ(一定期間は給付半額)の有無。実際に支払われるかは定義しだいなので、ここが製品比較の肝。
いくら必要か。目安は「毎月の必要生活費 − 公的給付の見込み − 取り崩せる貯蓄」。会社員で当面の貯蓄があれば過剰な上乗せは不要なことも多い。自営業・住宅ローンや小さな子がいる家庭ほど不足が出やすい。関連記事の医療保険は必要か・高額療養費制度・生命保険はいくら必要かも合わせてどうぞ。
- 傷病手当金
- 健康保険の被保険者が病気・ケガで働けず給与が出ないとき、標準報酬日額の約2/3を通算1年6か月支給する公的給付。国保には原則なし。
- 障害年金
- 一定の障害が残ったとき支給される公的年金。全員対象の障害基礎年金(1・2級)と、会社員等の障害厚生年金(1〜3級)。
- 収入保障保険
- 死亡・高度障害時に毎月の年金形式で受け取る掛け捨て生保。就業不能保険とは目的が異なる。
本記事は情報提供であり、特定の保険加入を勧めるものではありません。給付の可否・金額・期間は制度改正や各社の約款で変わります。加入前に必ず一次情報(公的機関の最新情報・各社の約款)をご確認ください。健康状態や家計の個別判断は専門家にご相談ください。