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養育費はいくら?算定表の読み方と、2026年4月に始まった「法定養育費」

相場は感覚ではなく表で決まる。裁判所の算定表の使い方と、取決めがないときの新しい受け皿を出典つきで。

更新 2026-07-30

#養育費#離婚#教育・学資#法律#お金#こども・育児

「養育費っていくらが普通なんですか」——この問いには、実は公式の答えの出し方がある。家庭裁判所が使う算定表だ。そして2026年4月、取決めをしないまま離婚した人のための新しい受け皿も始まった。

結論(早見)

①金額は裁判所の「養育費算定表」で読む。双方の年収子の人数・年齢で決まり、感覚や相手の言い値ではない。②決めたら公正証書か調停調書にする。ここを省くと、払われなくなったときに差押えができない。③2026年4月1日以降に離婚し、取決めをしていない場合は法定養育費(子1人あたり月2万円)を離婚日にさかのぼって請求できる。ただしこれは暫定的な下支えで、本来の額は別に決める。

→ 権利者(子と暮らす親)の年収0100200300(万円)↓ 義務者(払う側)の年収300500700900この枠の金額帯を読む色が濃いほど金額が上がる(義務者の年収が高く、権利者の年収が低いほど高い)
算定表の読み方のイメージ。実際の表は子の人数(1〜3人)と年齢区分(0〜14歳/15歳以上)の組み合わせで複数枚あり、年収の目盛りは給与所得者と自営業者で別。数値は裁判所の表そのものを確認のこと(図は編集部作成 2026-07)。

決め方の3ルート:差押えできるかが分かれ目

方法費用・手間払われないとき向く人
口約束・LINEゼロ差押え不可。まず取決めの存在を証明する争いになるおすすめしない
離婚協議書(私文書)ほぼゼロ差押えには別途訴訟や調停が必要関係が良好で、後で公正証書にする前提の人
公正証書(強制執行認諾文言つき)公証人手数料(金額に応じて数万円程度)そのまま強制執行できる協議で合意できている人の標準形
家庭裁判所の調停・審判申立手数料は数千円+期日への出席そのまま強制執行できる/履行勧告も使える話がまとまらない・連絡が取れない人

公正証書は「強制執行を受けても異議はない」という認諾文言が入っていることが要。ここが抜けていると、いざというとき使えない。


もっと深く:算定表は何を計算しているのか

養育費算定表の背後にある考え方はシンプルだ。まず双方の年収から、税や必要経費を引いた基礎収入を割り出す。次に、親と子それぞれに生活費指数という重みを与え、「子が義務者と同居していたら、いくら分の生活費を受け取っていたか」を計算する。最後にそれを双方の基礎収入の比で分担する。これが月額の目安になる。

15歳以上で金額が上がるのは、この生活費指数が高く設定されているからだ。逆に、子の人数が増えても単純に倍にはならないのも同じ仕組みによる(生活には共通経費があるため)。

表の外にあるもの

算定表は公立中学・高校に通う場合の教育費を前提に作られている。だから次のものは表の外で別に話し合うことになる。

逆に、住宅ローンを義務者が払い続けて権利者が住んでいる、といった事情は減額の理由として主張されることがある。表は出発点で、終着点ではない

2026年4月1日から変わったこと

令和6年法律第33号(民法等の一部を改正する法律)が2026年4月1日に施行された。子の養育に関する主な変更は次のとおり。

法定養育費の新設
取決めをしないまま離婚した場合でも、監護親は相手に対し子1人あたり月2万円(法務省令)を請求できる。施行日以後の離婚が対象で、離婚日にさかのぼって請求可。ただし暫定的・補充的な制度で、本来の額は速やかに協議・調停で決めるべきものとされている。
養育費債権への一般先取特権
養育費の請求権に一般先取特権が認められ、他の債権者より優先して回収しやすくなった(法務省令で子1人あたり月8万円を上限とする範囲)。
親権・親子交流の見直し
離婚後の親権を父母双方(共同親権)とすることも選べるようになり、親子交流についても規律が整理された。どちらが子の利益になるかで判断される。

払われなくなったら

厚生労働省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査では、母子世帯で養育費を現在も受けている割合は3割前後にとどまる。止まったときの打ち手は段階的だ。

なお、成年年齢が18歳に引き下げられたことは、すでに「20歳まで」などと決めた取決めには影響しない(法務省の見解)。取決め当時の意思が基準になる。

用語

養育費算定表
家庭裁判所が使う目安表。双方の年収と子の人数・年齢から月額の金額帯を読む。
法定養育費
取決めがないまま離婚した場合に請求できる法律上の額。2026年4月1日施行、子1人あたり月2万円。
強制執行認諾文言
公正証書に入れる「支払わなければ強制執行を受けても異議はない」という一文。これがあると裁判なしで差押えができる。
履行勧告
調停・審判で決めた義務が守られないとき、家庭裁判所が支払を促す手続。無料だが強制力はない。
この記事は制度の一般的な説明であり、法的助言ではありません。金額は個別の収入・資産・生活状況で大きく変わり、算定表から外れる合意や判断もあります。実際の手続や金額は、必ず裁判所の算定表の原本と法務省の公表資料で確認し、争いがある場合は弁護士や家庭裁判所(家事手続案内)に相談してください。制度は改正されることがあります。

参考文献・出典

  1. 裁判所「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」=改定標準算定方式・算定表(令和元年版、2019年12月23日公表)の原典. courts.go.jp
  2. 裁判所「養育費・婚姻費用算定表」(表の実物・子の人数と年齢区分ごと、給与/自営の別). courts.go.jp
  3. 法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕」(法定養育費・先取特権・共同親権等の概要と条文). moj.go.jp
  4. 法務省民事局リーフレット「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(2026年1月改訂). moj.go.jp(PDF)
  5. 法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」. moj.go.jp
  6. 裁判所「離婚と子どもをめぐる新しいルールについて」(改正後の家事手続の案内). courts.go.jp
  7. 法務省「成年年齢の引下げに伴う養育費の取決めへの影響について」. moj.go.jp
  8. 厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査 結果の概要」(養育費の取決め状況・受給状況). mhlw.go.jp
  9. 公正証書の手数料水準・履行勧告の運用は制度一般の説明(編集部整理 2026-07)。

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