退職金には、毎月の給与とはまったく別の「優しい税金ルール」が用意されている。長年の勤労への配慮で控除は大きく、しかも残りを半分にしてから課税する。だから手取りは、思っているより多いことが多い。
結論(早見)
退職金の税額は、ほぼ次の3ステップで決まる。①勤続年数に応じた退職所得控除を引く → ②残りを1/2にする → ③その額に所得税・住民税。控除の枠内に収まれば税金はゼロ。受け取り時に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先へ出せば、原則分離課税で精算が終わり、確定申告も不要になる。
退職所得控除の早見表
| 勤続年数 | 控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) |
例:勤続38年なら控除は 800万 + 70万×18 = 2,060万円。退職金が2,000万円ならすべて控除の範囲に収まり、所得税・住民税は0円。仮に退職金が3,000万円なら、超過940万円の半分=470万円が課税対象になる。
深掘り:間違えやすい3点
① 勤続年数の端数は切り上げ……1年未満の端数は1年に切り上げる。30年1か月なら31年で計算する。
② 申告書の出し忘れは損……「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと、控除も1/2も使われず一律20.42%が源泉徴収される(確定申告で取り戻せるが手間)。
③ iDeCo・企業年金との受取り順……一時金を複数受け取ると退職所得控除の重複調整がある。詳しくは iDeCoの受け取りと税金 を。年金形式で受け取る選択肢は 年金は何歳から受け取るのが得か も参照。
- 退職所得控除
- 勤続年数に応じて退職金から差し引ける非課税枠。20年までは1年あたり40万円、超過分は1年あたり70万円。
- 分離課税
- 給与など他の所得と合算せず、退職所得だけで税額を計算する方式。累進の影響が和らぎ有利になりやすい。
※本記事は税制度の一般的な情報提供であり、税務・投資助言ではありません。控除額や要件は税制改正で変わることがあります。実際の申告・判断は最新の国税庁情報や税理士にご確認ください。