持ち家はあるのに、手元の現金が足りない——。リバースモーゲージは『自宅に住み続けたまま、その評価額を担保にお金を借りる』仕組み。便利だが、選び方を誤ると相続人に借金が残る。怖がらせるためでなく、賢く選ぶための軸を。
結論(早見)
見るべき軸はリコース型かノンリコース型か・対象年齢・資金使途の自由度・金利タイプ・担保割れリスクの5つ。最重要はノンリコース型(死亡時に自宅を売って残債を清算し、不足が出ても相続人が払わなくてよい)を選ぶこと。公的な裏付けのあるリバースモーゲージなら、住宅金融支援機構のリ・バース60がまず比較の基準になる。なお『売って住み続ける』リースバックとは別物。下の表で違いを押さえてから検討を。
| 軸 | リバースモーゲージ | リースバック |
|---|---|---|
| 自宅の所有権 | 自分のまま(担保に入れる) | 業者へ売却(手放す) |
| 受け取り方 | 借入(年金型/一括/枠内で随時) | 売却代金を一括 |
| 住み続ける形 | 所有者として居住 | 賃借人として居住(家賃) |
| 毎月の支払い | 原則利息のみ(元金は契約終了・死亡時) | 家賃 |
| 主な対象年齢 | 原則満60歳以上 | 年齢制限はゆるい |
| 資金の使い道 | 商品により限定(リ・バース60は住宅関連が中心) | 原則自由 |
深掘り
3大リスク:長生き・金利上昇・担保割れ
リバースモーゲージで必ず理解すべきは3つのリスク。(1) 長生きリスク=想定より長生きすると融資枠を使い切り、生前に返済・売却を迫られることがある。(2) 金利上昇リスク=多くが変動金利。金利が上がると利息負担が増え、借入可能額が減る。(3) 担保割れリスク=不動産価格が下落すると評価額が下がり、借入枠の縮小や残債超過が起きうる。この3つ目の出口を相続人に背負わせないのがノンリコース型。逆にリコース型は金利がやや低い代わりに、不足分の返済義務が相続人に残る。
公的な基準=住宅金融支援機構「リ・バース60」
リ・バース60は、住宅金融支援機構と提携する民間金融機関が扱う満60歳以上向けの住宅ローン。毎月は利息のみを払い、元金は契約者の死亡時に相続人が現金で返すか、担保(自宅・土地)を売って清算する。融資限度額は担保評価額のおおむね50〜60%(8,000万円以下かつ所要資金以内)。資金使途は新築・購入・リフォーム・住宅ローン借換え・サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金など『住まいに関する用途』が中心で、生活費全般の自由な使途には向かない。リコース型/ノンリコース型を選べ、申込者の大半(2022年度の申込件数で約99%)がノンリコース型を選んでいる。ただしノンリコース型は金利がやや高めに設定される場合がある。
向く人・向かない人
向くのは、持ち家があり、住み続けながら住宅関連の資金を作りたい60歳以上で、相続人がいない/相続人の同意が得られる人。向かないのは、生活費の自由な穴埋めに使いたい人、相続で自宅を残したい人、近い将来の住み替えを考えている人。配偶者が連帯債務者(または契約を引き継げる設計)かどうかも要確認。検討時は相続や生前贈与の方針とあわせて、相続人を交えて相談したい。
- リバースモーゲージ
- 自宅を担保に、住み続けながら借入し、死亡時などに自宅売却で一括返済する高齢者向けローン。
- ノンリコース型
- 担保処分後に残債が出ても、相続人に返済義務が及ばない契約。
- リコース
- 債権者が債務者・相続人の他財産に返済を求められる権利。リコース型では不足分の返済義務が残る。
免責:本記事は情報提供であり、特定商品の勧誘や投資・融資の助言ではありません。リバースモーゲージは金利上昇・不動産価格の下落・長生きにより借入可能額や返済額が変動し、自宅を失うリスクや相続人に影響が及ぶ可能性があります。契約は相続人を含めてよく相談し、最新の金利・条件・対象要件は各金融機関および住宅金融支援機構の一次情報を必ずご確認ください。